目次
元本
元本とは元手となるお金のことです。例えばAがBに年利5%で100万円貸した場合、その100万円が元本となります。そしてこの場合、その5%が利率で元本に利率を掛けた5万円が利息となります。ちなみに年利とは、年間単位の利率のことです。
強制執行
例えばAがBに100万円貸していたが、期限を過ぎても返してくれなかったとします。この場合のAがBに対して有する金銭債権を、国家の力によって強制的に実現する手続きを強制執行といいます。ただし権利を持っていれば誰でも強制執行できるわけではなく、基本的には裁判で認められた権利が対象となります。
強制執行で最も一般的なのが、金銭債権に対する強制執行で、その具体的な方法として不動産に対する強制執行と強制管理が挙げられます。強制競売とは、債務者の不動産を売りに出し、その買い主の支払った代金で債権を回収する方法をいいます。強制管理とは債務者の不動産を貸出し、その賃料で債権を回収する方法をいいます。
金銭債権
金銭債権とは、金銭の支払いを請求できる権利のことです。AがBに10万円貸した場合、これを法的に説明すると、「AはBに10万円の金銭債権を有する」となります。またこの場合、Aは金銭債権を有する者であるから債権者となり、Bは金銭債権を履行しなければならない者として債務者となります。お金を貸した人が債権者、お金を借りた人が債務者です。
検索の抗弁権
債権者は、借金の担保に駆り出された保証人に請求する前に、まず借金した本人である主債務者に「XXさん、はやく250万返済してください」などといった返済の請求をしなければなりません。では債権者が借金した本人に支払いを請求すれば、すぐに保証人の家や土地などの財産について強制執行できるのかというとそうではありません。
保証人が、借金した本人に返済するための金銭や財産などが十分にあり、その借金した本人がもつ財産に簡単に強制執行することかができることを証明すれば、債権者は保証人でなく、借金した本人の自宅や所有地などの財産に、強制執行する義務が生じます。このように保証人が「借金した本人の財産について、まず優先的に執行してください」と対抗できる権利を、検索の抗弁権といいます。
催告
例えばAがBに100万貸して、返済期限は一週間後と設定したとします。しかしBは一週間後、Aに100万返済できませんでした。このような場合、債務不履行といってAはBに返済期間を守れなかったことにより発生した損害を賠償請求することができ、また契約の解除をすることができます。
ただし解除については、返済がなかったからといってすぐにすることはできません。Aは相当な期限を定めて、「~までに100万返済してください。そうでなければ契約を解除します」とBに請求をしなければなりません。このように具体的な日程を提示した上で、解除をすることを前提とした請求を催告といいます。またこの催告があったにもかかわらず、Bが提示された日程までに100万支払わなかった場合は、Aは契約を解除することができます。
催告の抗弁権
保証人は、主債務者の債務(例えば消費者金融などから200万借りるなど)を保証するので、債権者は主債務を保証した保証人にも当然返済の請求をすることができます。しかし、保証人はあくまで主債務者がその借金の返済などの債務を実際にできなくなったときに、その代わりに返済しなければならない法律上の責任があります。
従って債権者が主債務者に「期限が過ぎたので、お金を返してくれ」といった請求をせずに保証人に請求したときは、保証人は債権者に対して「私に請求する前に、まず債務者であるXXに返済の請求してください。」と主張することができます。このように保証人が債権者に「保証人である自分に請求する前に、主債務者に催告せよ」と主張できる権利を、催告の抗弁権といいます。
債務不履行
債務者が債務の本旨に従った履行をしないことを債務不履行といいます。お金の貸し借りである消費貸借においては、借受人が期日までに返済しない場合が、債務不履行になります。お金を終局的に返さない場合が、債務不履行に当たることは当然ですが、期日に遅れただけでも債務不履行に該当します。
また返済できなかったことについて、理由があるかどうかは考慮されません。借受人が返せなくなったことに不可抗力があったとしても、債務不履行は成立します。
質権
質権というと質屋に宝石や腕時計、指輪などの高価なものを預けて、お金をもらう場面を想像する方もいるかと思われます。確かに宝石や腕時計のような貴重品である動産も質権の対象ですが、家や土地などの不動産にも質権を設定することができます。ただ質権は債務者が家に住む続けられる抵当権と違い、目的物を債権者に引き渡す必要があります。従って、債務者が家に質権を設定した場合は、質権者がその家を管理するためにその家を出ていかなければなりません。一方で抵当権を設定すれば、引き渡すことなく住み続けることができます。不動産に対する質権があまり好まれないのは、このような理由が大きいでしょう。
出資取締法
利息制限法では、元本に対し一定の利率を定め、それを超える利率は無効としています。
そして出資取締法では、一定の利率を超える利息で貸付を行なった者に対して刑事罰を課すことを規定しています。具体的には、貸付業者の場合は年20%、それ以外の者は年109.5%(うるう年は、年109.8%)を超える利率で貸付を行った者を、処罰する規定を置いています。言い換えると、利息制限法は民事上の責任を定めた規定であり、出資取締法では刑事上の責任を定めた規定といえます。
ただ利息制限法で定めた利率の上限と出資取締法で利率の上限には開きがあり、利息制限法上は違法であるが、出資取締法上は適法とされる利率が存在します。このような利率による貸付は、行政処分の対象になります。
消費貸借
消費貸借とは、その典型はお金の貸し借りです。また意外かもしれませんが、消費貸借を規定した民法では、利息の有無について規定されていません。よって消費貸借は、原則無利息となります。しかし商法では、商人間では利息付が原則とされています。従って契約当事者の双方が会社である場合には、利息付が原則となります。以上の原則からすると、消費者金融である会社と一般市民である個人との契約は、無利息が原則となります。
しかし、これはあくまで民法及び商法が定めた基本原則であり、当事者間で特別な約束事(特約)を定めることは可能です。実際、ほとんどの消費者金融は特約で高額な利率の利息を定めています。現実社会において、無利息でお金を貸してくれる消費者金融はほとんどありません。
消滅時効
消費貸借とは、その典型はお金の貸し借りです。また意外かもしれませんが、消費貸借を規定した民法では、利息の有無について規定されていません。よって消費貸借は、原則無利息となります。しかし商法では、商人間では利息付が原則とされています。従って契約当事者の双方が会社である場合には、利息付が原則となります。以上の原則からすると、消費者金融である会社と一般市民である個人との契約は、無利息が原則となります。
しかし、これはあくまで民法及び商法が定めた基本原則であり、当事者間で特別な約束事(特約)を定めることは可能です。実際、ほとんどの消費者金融は特約で高額な利率の利息を定めています。現実社会において、無利息でお金を貸してくれる消費者金融はほとんどありません。
相殺
例えばAがBに100万貸し付けていたとして、返済期限が過ぎていたとします。一方でAは以前Bから100万円の車を購入していて、Bに代金100万支払う必要があったとします。本来であれば、AがBに100万支払い、またBもAに100支払うことが必要です。
しかしこの場合AもBもお互い同じ金銭債権を有していて、その金額も一緒です。そこで民法はお互いの意思表示のみで双方の債務の履行があったとする、簡易な弁済制度を用意しました。それが相殺です。よってAがBに「自分のもってる100万の債権とBの自分に対する100万の債権を相殺する」という意思表示をすれば、双方の債権は消滅し、履行義務はなくなります。
しかし例外として、双方が相殺をしないという意思表示をしたり、債務の性質が相殺に適しない場合は、相殺をすることはできません。
担保物権
お金を貸すときにそれを必ず返してもらうために、借受人の物を担保に取ることがあります。家や車や船舶など、そのような物に対する権利を担保物権と呼びます。担保物権には、当事者の合意で発生する約定担保物権と法律上当然に発生する法定担保物権があります。具体的には、抵当権、質権が契約当事者の取り決めによって設定される約定担保物権であり、先取特権、留置権が契約当事者の意思とは無関係に発生する法定担保物権になります。
遅延損害金
お金を借りた場合、通常期限までに返済する義務が発生します。しかし期限を守れず、返済が遅れてしまった場合は、貸付人には金銭を得られなかったことによる損害が生じます。この貸付人に生じた損害を賠償する目的で交付するのが、遅延損害金です。従って遅延損害金は、貸付人が借受人に対し、損害賠償を請求することによって得られる金銭となります。
抵当権
抵当権が他の担保物権と一番異なっている点は、非占有担保物権であることです。わかりやすくいうと、質権は権利を設定したと同時に債権者にその目的物を引き渡さなければならないですが、抵当権の場合は家や土地などの目的物を引き渡す必要はありません。つまり債権者が占有することを要しない(=非占有)ということで、非占有担保物権といわれています。従って債務者は家に抵当権を設定した後も、引き続きその家を利用できるので、環境を大きく変えることなく生活することができます。
また抵当権の実行があった場合は、抵当権者はその家や土地を競売にかけ、それを実際競売に参加し買い受けた者が支払った代金から金銭債権を回収することになります。
任意売却
家の購入後そのローンが返済できなくなった場合、通常は強制執行手続きにより、家を競売にかけることになります。しかし競売にかけられた物件は、市場価格より低い値段になるのがほとんどです。また競売にかけられた事実は周囲に広く知れ渡ることにより、プライバシーが侵害されます。
よって競売のこのようなデメリットを考慮し、競売の前に自ら不動産を売ることを任意売却といいます。任意売却のメリットは、市場価格に近い点で売却できるという点です。また競売のように、周囲に広く知られることもありません。
一方デメリットは、債権者(この場合は銀行)の同意が必要という点です。通常ローンで購入した不動産には、抵当権が設定されており、抵当権付きの不動産を購入する人はまずいません。従って抵当権の抹消手続きの点で、債権者の同意はどうしても必要となります。
法定利率
お金の貸し借りである消費貸借契約を締結した際は、通常利息が発生しますが、その利率は法律に規定されています。民事法定利率が年5%、商事法定利率が年6%と民法及び商法で定められています。従って一私人が銀行から借りるような場合は、年5%であり、Aという会社が銀行から借りる場合は、年6%となります。(なお法定利率の5%の規定は2017年9月の時点であり、民法の改正後は3%になります。改正された民法の適用は2020年頃といわれており、それまでは5%となります)
また1年以上利息を滞納して、債権者が「支払ってくれ」と催告しても、支払いがない場合は、特約なしで債権者は、これを元本に組み入れることができます。従って私人が銀行から1000万円借りていて、その催告を無視し、1年間利息を支払わなかった場合は、2年目は1050万が元本となります。そして、2年目の利息は1050×0.05で52.5万円となるのです。
保証
保証とは、消費者金融などによりお金を借りた人間が、貸付を行った者に対して負った債務の返済を、保証人として共に背負い返済をしなければならない責任のことをいいます。例えばAがBから1000万お金を借りて、Cが保証人になったとします。この場合Aが主体たる債務者なので、CはAが返済できなかった場合、保証人としてその1000万を返済しなければなりません。その返済義務が保証になります。
保証は一般の市民(自然人といいます)だけではなく、企業などの法人でもなることができます。自然人が保証人となる場合を、個人保証、法人が保証人になる場合を法人保証といいます。また法人保証のうち、保証を仕事として行っている機関による保証を、機関保証といいます。
保証債務の性質
保証人は主たる債務者の債務を保証していますが、その債務は主体たる債務者のものとは性質が異なります。なぜなら主たる債務者にまず履行する責任が生じ、保証人の債務はあくまで二次的、予備的なものになるからです。それを法的概念を用いて説明すると保証債務には、①成立に関係する付従性、②内容に関係する付従性、③消滅に関係する付従性があるといわれています。
①の成立に関係する付従性とは、主債務が契約の締結などにより発生しなければ、保証債務もそもそも成立しないことを意味します。つまりBがAから100万借りた場合にそれをCが保証できるのであって、BがAから何も借りてない時にCがなにかを保証するということは、ありえないということです。②の内容に関係する付従性とは、保証人が負う保証債務が主債務より重くなったり厳しくなったりすることはないことを意味します。BがAから100万借りてそれをCが保証した場合、Cの保証する金額が150万だったり200万にはならないということです。
③の消滅に関係する付従性とは、主債務がなくなってしまえば、保証債務もなくなってしまうことを意味します。先の例でBがAに100万返済したにもかかわらず、Cの保証債務は存続するということはないということです。
また保証債務は、主たる債務の元本だけではなく、利息や遅延損害金にも及びます。
リスケ
リスケとは、リスケジュール(reschedule)の略で、もともとの意味はスケージュールを立て直すことを意味します。また住宅ローンの場で使われるときは、ローンの返済条件の見直しを意味します。具体的には、月々の返済金額を変更したり、返済期間を変更したりなどです。一時的に支払いを猶予してもらうことも、リスケにあたります。
ただし注意したいのは、リスケを行っても返済金額自体は変わりません。従って月々の返済額を少なくしても、返済期間はその分長期化するなど、リスケの結果さらに苦しくなる場合も考えられます。リスケを行う場合は、くれぐれもその場しのぎにならないよう注意が必要です。
リースバック
リースバックとは、所有する不動産を売却し、その後買主からその不動産を借りるという賃貸借を目的とした売買のことをいいます。リースバックの最大の特徴は、売却後もその不動産から立ち退く必要がない点です。
具体的に言うと、Aは家を購入しローンを払っていましたが、返済が不可能な状況になりました。このような場合、通常は強制執行によりAの家は競売にかけられ、その売却金によりAはローンを返済します。しかしこの場合、買い手が見つかった時点で、Aは当然ですが家を出ていかなければなりません。その点リースバックではAは家を売却した後、買主から家を借りることができ、その後も住み続けられるのです。
このように比較すると、リースバックはいいことだらけのようですが、デメリットもあります。それは売却後の賃貸において、確実に賃料を支払うことが要求されるため、資産状況がある程度充実していることが必要な点です。売ることを目的としている通常の売買より、数段ハードルが高くなります。
利息制限法
消費貸借の法定利率は、任意規定であるため、契約当事者間がそれを超える利率を定めることができます。しかしそれでは悪質な貸金業者が、暴利をむさぼるため法外な金利を設定し、一般消費者が破滅に追いやられてしまいます。そこでそのような事態を防ぎ、利息に一定の規制をかけるため施行されたのが利息制限法です。
利息制限法では、利息に関する様々な規定を置いていますが、一番重要な点は利率の上限を決めている点です。具体的には元本が10万円未満なら年20%、10万円以上100万円未満なら年18%、100万円以上なら年15%と定められています。
また利息の過払いについては判例が出ており、過払い分は元本に充当されると判断しました。例えば私人Aが消費者金融から元本10万円利息年20%の条件で借りて、実際Aが利息分の2万を払ったとします。しかしこの場合、利息制限法により利息は1万8000円が限度で2000円は過払い分です。このような場合、その2000円分は元本の10万の支払いに充てるとするのが、上記判例の趣旨になります。
利息の天引き
利息の天引きとは、返済能力に問題がある人に貸し付ける場合に、あらかじめ元本から利息を差し引いた分を貸し付ける制度です。例えばAがBに年利5%で100万円貸したときに、AはBが本当に返してくれるかどうかわからないため、利息分の5万を引いて95万貸し付けるのが利息の天引きです。
ただ上記の例では年利5%で問題ないですが、例えばAがBに年利20%で100万貸し、20万引いて80万貸した場合どうでしょう。利息制限法では100万円の場合は15%が限度なので、85万の天引きまでしか認められていません。このような場合にも利息制限法は規定があり、上限を超えて天引きした場合は、その分は元本に充当されるとしています。
従ってBが余計に払った5万分は、100万の元本に支払ったことになり、Bは最初から95万しか借りていないことになります。
連帯債務
連帯債務とは、債務者が債権者に対して連帯して債務を履行する義務のことをいいます。その連帯しての意味は、債務者の全員が履行の義務を負うことを意味します。例えばABCが、共同で車をDから90万で買ってその支払い義務が連帯債務だったとします。この場合ABCの全員に車の代金全額支払う義務があるのでDは、Aに90万請求することもできるし、BCに90万請求することもできるのです。ABC間で、各自の負担部分が30万と設定していたとしても、全員が90万全額支払う義務があります。ちなみにBが90万払ったときは、求償といってBはA及びCに、30万ずつ支払うよう請求することができます。
また連帯保証も連帯して債務を履行する義務があるため、一見すると連帯債務も連帯保証も同じ制度に思われるかもしれません。しかし連帯債務には債務者間の負担部分というものがあり、一方の連帯保証ではそれはないため、その点で大きく異なります。上記の例でいうとABCは各30万ずつ支払うという取り決めが、負担部分になります。
連帯保証
保証は本来あくまで、主たる債務を二次的に担保するものであり、そのために保証人には、催告の抗弁権及び検索の抗弁権が自己を守るための権利として与えられています。しかし債権者からすれば、そのような抗弁権は邪魔でなくしたい存在であり、保証人に対しても主債務者と同じように支払いの対象として扱いたいはずです。よって保証人にも容赦なく請求したいと考える債権者の要望に応えた制度が、連帯保証となります。
従って連帯保証では、保証人は主債務者と連帯し一緒になって支払いなどをする義務があるため、催告の抗弁権を使って「主債務者のXXさんにまず請求すべきです」と主張することができません。さらに検索の抗弁権を使って「主債務者のXXさんの土地や持ち家をまず強制執行してください」ということができません。よって債権者は、主債務者に一度も金銭の支払いを請求することなく、いきなり連帯保証人の個別の財産について強制執行することができます。このように連帯保証は債権者にとって非常に使い勝手がいい制度であるため、現実において行われる保証はほとんど連帯保証です。